RPA基礎知識

DXの必要性について|DXを実施しない企業のリスクとは

DXを実施しない企業のリスクとは

DXの必要性が叫ばれている昨今ですが、DXのことを単なるデジタル化だと思っていませんか?。
経済産業省の資料によると、企業は2025年までにDXに取り組まねば経済損失が生じる可能性があると報告されています。しかし、2020年時点で実際にDXに取り組めていない企業は95%で、DXに課題を残している企業がほとんどなのが実状です。

この記事では、経済産業省が発表した「DXレポート」をもとに、DXの重要性を詳しく解説していきます。

DXの取り組み状況は?

DX(デジタルトランスフォーメーション/Digital Transformation)とは、デジタル技術の活用で人々の生活をよくすることです。

DX推進ガイドライン(経済産業省)」によると、以下のように記されています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのも のや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

つまり、単なるデジタルの導入にとどまらず、人々の生活に変革を起こすものがDXといえるでしょう。日本でも2021年にデジタル庁が発足し、官公庁のデジタル化やDXの推進を後押ししています。

しかしながら、日本企業のDX取り組み状況は、あまり進んでいません。

2020年に経済産業省によってまとめられた「デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会の中間報告書『DXレポート2(中間取りまとめ)』」によると、

「95%の企業はDXにまったく取り組んでいないか、取り組み始めた段階であり、全社的な危機感の共有や意識改革のような段階に至っていない」

「先行企業と平均的な企業のDX推進状況は大きな差がある」

と記されています。

95%の企業がDXに対する危機感を持っていないということは、早く取り組んだ企業は優位に立てる可能性があるといえるでしょう。

DXはなぜ必要なのか

DXはなぜ必要なのか

95%の企業がDXに取り組めていない理由の一つは、DXの重要性の理解が進んでいないからではないでしょうか。

「2025年の崖」の脅威

2018年、経済産業省は「DX(デジタルトランスフォーメーション)レポート」の中で「2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性」があると報告しています。これは「2025年の崖」と呼ばれ、官公庁だけでなく一般企業にもDXの重要性を訴えた資料です。

2025年までにDX化できなければ経済損失が生じるかもしれない理由として、レポートの中で以下のように挙げています。

・システムのカスタマイズにより複雑化・ブラックボックス化しているため、多くの技術的負債を抱え、業務基盤そのものの維持・継承が困難に

・サイバーセキュリティや事故・災害によるシステムトラブルやデータ滅失・流出等のリスクの高まり

・技術的負債の保守・運用にリソースを割かざるを得ず、最先端のデジタル技術を担う人材を確保できない

IT人材の確保が十分にできていない、かつブラックボックス化しているため、システムの維持のみとなってしまい、最先端技術を取り入れるのが困難となっているのです。

また、データ活用についても課題があることを指摘しています。

事業部門ごとにシステム構築されているため、全社を横断してのデータ活用ができない

爆発的に増加するデータを活用しきれず、 デジタル競争の敗者に

今や、多くの企業がビッグデータ活用に乗り出し、一大ビジネスとなっています。その一方で、DXレポートで指摘されている通り、部門間でデータを共有できていない企業も存在するのです。

参考資料キャプチャ(本番公開では消します)

レガシーシステムの老朽化とブラックボックス化への対応

レガシーシステムとは、古い技術や仕組みで構築されていて、ブラックボックス化しているシステムのことです。DXの足かせの一つが、技術のレガシーボックス化です。

デジタル化はセキュリティの懸念やデータの流出等のリスクも合わせて対応しなければなりません。しかし、担当者しか分からない・担当者が退職したなどの理由で、構築されたシステムのブラックボックス化が懸念されています。

レガシーシステムの老朽化は、改修したくてもできない、新規開発ができないといった多くの技術的負債を抱えることになります。さらには業務基盤そのものの維持や継承が困難になるかもしれません。

市場のグローバル化に対応するため

人口減少にともない、日本企業が成長するためには世界に目を向ける必要があります。DXはグローバル化の足掛かりとなるものです。DXで得られたシステム化、データの活用を武器に海外と戦っていかねば、日本企業は生き残れません。

DXに対応し環境変化に対応できた企業と、DXに及び腰であった企業の差はますます広がっていくことが予想されます。

労働力不足に対応するため

DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」によると、
「 IT人材が不足する中、レガシーシステムの保守・運用にIT・ソフトウエア人材を割かれており、貴重な「IT人材資源」の “浪費”につながっている」と報告しています。

日本の人口は減り続けているため、労働力もそれにともない減少すると考えられますが、IT人材はすでに不足しているため、人材の奪い合いは加速していく可能性が高くなります。
生き残るためには、一刻も早くDXを推進し、労働力枯渇に備える必要があるのです。

DXによって実現できること

DXによって実現できること

DXを推進するメリットを3つ、解説します。

業務効率化・生産性向上

DXは単なるデジタル化ではなく、我々の生活や仕事をより良くする改革のことです。デジタル化でできる改革の例を挙げます。

  • MAツールでデータを収集してデジタルマーケティングに活用する
  • CRMで顧客情報の管理をすることで部署間の摩擦を無くす
  • RPA導入でロボットに業務を担ってもらい、コア業務に集中する

このように、業務に合わせたツールを導入すれば、業務効率化および生産性向上が見込めます。

新しいビジネスを生み出す

大企業ではビッグデータを収集してそのデータを元にしたマーケティング、および広告事業が行われています。中小企業でも、分析ツールで得られたデータを集めれば、新商品の開発や既存顧客のLTVの向上に十分つながります。

デジタルの世界では数値で表されるので、新たな仮説を立てやすくなるでしょう。
例えば、下記のような具合です。

  • Webサイト来訪者が多い曜日・時間帯にプレスリリースを出せば、SNSでシェアされやすくなるのでは?
  • メール開封率が高い時間帯にお知らせメールを配信すれば、商品ページを見てもらいやすくなるのでは?

何より、業務の効率化・生産性を向上することで、空き時間が生まれ、新たな課題やビジネスに取り組みやすくなるでしょう。

BCP対策

BCP(Business Continuity Plan)とは、企業が災害や緊急事態に見舞われても事業を継続できるよう計画をすることです。DXはBCP対策としても優れています。

大事な帳票をPDF化しておき、複数のサーバに保存しておけば、PCが壊れても復元可能です。DX化を進め、どこでもテレワークが可能な環境を作っておけば、本社が災害に見舞われても従業員は自宅で対応ができます。OCRを導入していれば、スマートフォンで撮影した領収書をシステムにすぐにアップできるため、感染症などの影響で出社ができなくても領収書を処理できます。

このように、BCP対策をする上でも、DXは欠かせない存在なのです。

DXへの第一歩はRPAから

DXへの第一歩はRPAから大がかりなDXは手間と時間を要するうえに、専門知識が必要な場合もあります。

まずは、受注数をエクセルにまとめる、FAXが届いたらスキャンしてPDFに変換するといった、単純業務をRPAで自動化することをDXの第一歩としてはいかがでしょうか。

SoftBank社の「SynchRoid」や、RPAテクノロジーズ社の「BizRobo!」なら、ノンプログラミングでRPAを導入でき、サポートも充実しています。開発済みの自動化ロボットが無料でダウンロードできる「ROBOT-HUB」の提供があり、導入しやすい仕組みが揃っているのもメリットです。

まとめ

DXと聞くと、大企業が取り組むものとか、専門職の人にしか扱えないというイメージを持たれがちですが、DXの第一歩は小さなところから始められます。
特に業務効率化が急務なのであれば、RPAの導入を一度検討してみてはいかがでしょうか。

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