RPA基礎知識

働き方改革を叶えるRPAの可能性|導入成功のためのポイントは?

近年、多くの企業が働き方改革を推進しています。

2019年に働き方改革法案が適用されたこと、そして昨今の情勢によりテレワークが普及してきたことなどが理由として挙げられます。

働き方改革をするにあたって、業務効率化を図るために「RPA」の導入を検討する企業も多いのではないでしょうか。

RPAは、定型業務や単純な作業を自動化できるため、うまく取り入れられれば、企業の働き方改革に大きく貢献してくれます。

 

この記事では、そもそもなぜ働き方改革が必要なのか、という背景から、RPAを導入する際のポイントについて詳しく解説します。

働き方改革が必要な背景とは

働き方改革は、2019年4月に働き方改革関連法案が適用されたことで、さまざまな企業の経営課題として広く認知されるようになりました。

そもそも働き方改革関連法案が適用されたのには理由があります。

それが以下の二つです。

・労働人口の減少
・働き方の多様化

一つずつ詳しく見ていきましょう。

労働人口の減少

働き方改革関連法案はそもそも「少子高齢化による労働人口の減少」という背景により制定されました。

ご存じの通り、日本の人口は年々減少し続けています。少子高齢化が進み、労働人口が減少の一途をたどっています。

厚労省が出しているデータによると、2000年には6766万人だった労働人口が、2030年には6180万人と、およそ600万人も減少する見込みです。

さらに2060年には、国民の約2.5人に1人が65歳以上の高齢者となり、世界でも類を見ないほどの少子高齢化を迎えると言われています。

 

つまり、これまで通りの働き方をしていては、労働人口減少に対応できず、日本は経済を維持できなくなってしまう恐れがあるのです。

それを阻止するために、政府は働き方改革関連法案を適用しました。

この法案に則って、今ではあらゆる企業が働き方改革実現に向けて動き出しています。

労働力不足における働き方改革を推進していくためには、一人当たりの生産性を上げていく必要があるのです。

参照:厚生労働省「労働経済の基礎的資料」
総務省「第1部 特集 データ主導経済と社会変革」

働き方の多様化

また、今後は「育児や介護との両立など、働き方の多様化」にも対応していく必要があります。

今では働き方も多様化し、リモートワークを導入したり、決まった場所にオフィスを持たず、バーチャルオフィスやレンタルスペースを活用する企業も多くあります。

働く時間も固定されず、フレックス制や時短勤務など、それぞれの生活に合わせた働き方が可能な時代です。

 

そして、今は女性も働く時代です。ですが、働く女性が必ずと言っていいほどぶつかるのが「育児や介護との両立」。

リモートワークの導入や有給休暇の取得推進など、ワークライフバランスを整えるための働きやすい環境を整備することも企業課題の一つです。

働き方改革を推進するRPAとは

「少子高齢化による労働人口の減少」

「育児や介護との両立など、働き方の多様化」

上記二つの観点から、企業が働き方改革を推進するにあたって注目されているのが「RPA」です。

RPAとは、「Robotic Process Automation」の略語で、「ロボットによる業務自動化」のことを指します。

RPAは、PC上の定型作業をロボットに記憶させることで、単純な入力業務の他、経理業務、管理業務など、さまざまな繰り返し業務を代行することが可能です。

 

例えば

・Microsoft Excelへの入力・転記作業
・データのダウンロード・アップロード
・メール送信
・データ出力

など、あらゆる定型業務を自動化できます。

 

PCでできる業務であれば、アプリケーションもソフトも選ばない為、それらをまたがった業務も自動化が可能です。

また、RPAで業務を自動化することによって人的ミスの低減にも効果を発揮します。

ロボットは人のように集中力が切れたり、疲れを感じることがないため、24時間365日働けますし、インプットされた通り、ミスをすることなく業務を遂行します。

リモートワーク導入にも効果的?

昨今の情勢も相まって、リモートワークを導入している企業は増加しています。

働き方改革の背景にある「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」にもリモートワークは欠かせない施策です。

 

RPAは、リモートワーク推進にも有効な手段です。

リモートワーク推進の弊害となる一つの理由がペーパーワークではないでしょうか。従来は紙で管理していたものをデジタルに移行するには手間もかかり、業務フローも変わる場合があります。

そのハードルの高さゆえ、リモートワーク推進が進まない企業がまだまだ多いのが現状です。

ペーパーレス化を実現するには、文字の読み取りを行うOCRの導入も不可欠ですが、その後の業務フローについてはRPAで自動化ができるため、OCRとRPAを併用することで、ペーパーレス化へのハードルを下げることが可能でしょう。

 

また、決まった時間や決まった場所でしか行えない業務も、定型業務であればRPAで自動化し、スケジュール機能などを使って自動で実行することも可能です。

RPAの機能を存分に使えば、リモートワークの導入もスムーズに進めることができ、働き方改革へ一歩近づくかもしれません。

RPA導入時のポイント

RPAの導入は、働き方改革推進に効果的ですが、導入時にポイントを抑えておかないと、せっかく導入しても十分な効果が得られない、もしくは、ロボットを作ったものの、管理が行き届かず放置されてしまう「野良ロボット問題」に発展する可能性もあります。

ここでは、そのような事態にならないように、RPA導入の際に注意すべきポイントについてお伝えします。

RPAで自動化できる範囲を理解する

RPAは都度、人の判断が必要な業務や、判断基準が不明確な業務、手順が多く複雑な業務には向いていません。

また、RPAのシステムが停止した場合に、大きな問題を引き起こしたり、損害につながる可能性がある業務についても導入しない方がよいでしょう。

 

RPAで自動化できる業務はあくまでも「単純な定型業務」に留まります。

マニュアル化ができていて、判断基準が明確である業務に対して導入するようにしましょう。

例えば

・Microsoft Excelへの入力・転記作業
・データのダウンロード・アップロード
・メール送信
・データ出力

など、システムに投資するほどではない、しかし人の手を煩わせている業務、というのは必ずあるはずです。

まずは範囲が広い業務よりも、範囲が小さく業務フローが単純な業務に導入することを意識しましょう。

最初から範囲が広く業務フローが複雑な業務に導入してしまうと、運用工数が増えたり、管理が煩雑になり、失敗につながる可能性があります。

 

RPAで自動化する業務範囲を間違えなければ、ロボットは人が業務をこなすよりも「早く」「正確に」業務を遂行します。

人とは違い、疲れを知らないので24時間365日休まず働けますし、人的ミスも起きません。

対象業務を間違えなければ、自社の生産性向上へ大きく寄与してくれるでしょう。

自動化する業務の見直し・シミュレーション

RPAを導入する業務が決定したら、導入する業務について再度見直しをおこないましょう。

例えば、今まで当然のようにこなしてきた業務フローに無駄はないか、もしくは紙ベースの部分をデジタル化することで、さらに業務改善が見込めるのではないか、など、業務を見直すことで無駄が見つかる場合もあります。

そして、実際にRPAを導入することで、どれだけの時間削減、生産性の向上が見込めるかを、事前にシミュレーションしておくことが重要です。

加えて、RPAを導入したことで、削減できた時間をどの業務に充てるかも考えておく必要もあります。

削減できた時間を人にしかできない作業や、クリエイティブな業務に充てることで生産性を上げることができるのです。RPAによって空いた時間を充てる業務がなければ意味がありません。導入前にしっかり確認しておきましょう。

RPA導入後の運用管理について決めておく

RPAを導入したらそれで終わりではありません。

導入しても正しく運用し続けなければ、導入前と比べて効果を感じにくかったり、もしくは反対に負担が大きくなってしまうということも考えられます。

RPAの導入前に、担当の部署に対して説明会や勉強会を行う必要も出てくるでしょう。

導入後も適切に運用し、業務改善を進めていくことでRPA導入のメリットが最大限享受できます。

また、部署内でブラックボックス化しないように、運用管理業務を可視化しておくことも重要です。

まとめ

働き方改革の推進のためには、RPAは有用なツールです。

しかし、導入することが目的になってしまっては、本当の意味での業務改善は見込めません。

また、どうにかして業務を自動化しようと、導入だけして野良ロボットになってしまったという事例もあります。

 

RPAで働き方改革を推進するためには、RPA導入に適した業務の洗い出し、適用させる業務範囲、業務を自動化後の管理運用体制など、RPAを導入する前に確認すべきことを一つ一つクリアにしていくことが大切です。

RPAの特性を正しく理解し、自社で導入すべき業務を明確化し、働き方改革を推進していきましょう。

 

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