働き方改革により、業務の自動化をはかるためRPA導入を検討している企業が増えています。
しかし、RPAツールといっても、サーバ型・デスクトップ型・汎用型・特化型など、種類がいくつか分かれている上に、ツールの種類も多くなりつつあります。最近ではノンプログラミングで直感的に操作できるツールも登場し、さらにRPAツールが身近になってきました。
この記事では、RPAを使った業務効率化について詳しく知りたい方に向けて、RPAツールの説明から、導入するメリット・自社に合った選び方について解説していきます。
RPAツールとは?
RPAとは「Robotic Process Automation」の頭文字をとったもので、直訳すると「ロボットによる仕事の自動化」という意味です。
RPAでは以下のような仕事を自動化できます。
- 手書き伝票をスキャンしたデータからMicrosoft Excelに転記する
- 毎日決まった時間にデータをダウンロードをする
- 本日の売上をツールに自動入力する
RPAは人間がおこなった業務を記憶し、その通りに実行します。例えば、「手書き伝票をスキャンしたデータからMicrosoft Excelに転記する」という業務は以下のような手順となります。
- 毎朝8時に「伝票」という名前のファイルに入っている、手書き伝票の画像データにアクセスする
- 画像データの入力情報を新規のcsvファイルとして保存する
- Microsoft Excelのひな形をコピーし「日付_伝票」というタイトルで新規ファイルを作る
- フォーマットに沿って2を3へ転記し、保存する
上記は毎回同じかつ、考える必要の無い定型業務です。一部の定型業務をロボットに担ってもらうことで、意思決定やクリエイティブが求められるものなど、人でなければできない仕事に集中し、仕事の効率化を狙います。
マクロとRPAの違い
マクロもRPAも定型業務を効率化するときに使われます。ここでは、よく混同される、マクロとRPAの違いについて解説します。
マクロはプログラムを組むことで、Microsoft Excelを始めとしたMicrosoft Officeに関連する業務を自動化できる機能です。VBAを始めとしたプログラム言語を入力する必要があります。マクロを用いた自動化はMicrosoft Office上級者が取り組むものです。
一方、RPAはMicrosoft Office関連の業務に限定されません。異なるシステムやツールをまたいだ運用が可能です。
異なるシステムをまたぐ運用の例としては、会計ソフトから取引データを取得し、銀行振り込み内容を入力するといった業務が挙げられます。会計ソフトやネットバンキングといった別のシステムへのログインが必要ですが、RPAならロボットにログイン情報を教えられるため、業務を代わりにおこなえるのです。
RPAを導入するにあたり、プログラミング技術はあったほうがよいのですが、SynchRoidやBizrobo!など、ノンプログラミングで組めるRPAを選べばプログラミングができない人でも活用できます。
AIとRPAの違い
RPAはAIともよく混同されるため、その違いについて解説します。AIは「Artificial Intelligence」の頭文字をとったもので、日本語では「人工知能」と呼ばれています。
AIの始まりは人間の考え方や振る舞いをコンピュータで再現したものでした。最近のAIは、機械学習でデータを分析し、その背景にあるパターンやルールを見つけ出すことで、業務の一部を担えるようになりました。
一方のRPAのロボットは機械学習をしたり、業務を変更したりすることはありません。人間にプログラミングされた通りの動きをします。RPAができるのは手順が決まっている定型業務です。
AIはプログラミングの専門知識に長けていてメンテナンスができる人がいなければ、導入するのは難しいかもしれません。まずは導入ハードルの低いRPAで、ロボットによる業務効率化を試してみるのがおすすめです。
RPAツールはどう選ぶ?
ここでは、RPAツールを選ぶときのポイントを3点解説していきます
デスクトップ型、サーバ型で選ぶ
RPAは大きく分けてデスクトップ型とサーバ型の2種類があります。
自社サーバにインストールする「サーバ型」は自社サーバー上でロボットの管理を行います。自社サーバに複数のシステムにロボットの配布、さらには一括でロボットの管理ができる点がメリットです。大量のデータを扱う、複数の部署でRPAを導入したい、あるいはシステム部門などで一括管理をしたい大企業に向いています。
一方の「デスクトップ型」は個々のPCにRPAをインストールして、ロボットを管理します。デスクトップ型は自分のPCでのみ完了する作業に適しています。ノンプログラミングで直感的に操作できるものが多く、専門知識が無くても操作できるものを選びたいなら、デスクトップ型がおすすめです。サーバ型と比べると安価でスモールスタートができるため、中小企業でも導入しやすいのがメリットです。
RPAを導入する業務に合っているかで選ぶ
RPAツールには「汎用型」と「特化型」があり、導入する業務が決まってからRPAツールを選びましょう。
まず、「汎用型」とはPC上のあらゆる業務に対応したRPAです。しかし、設定作業に時間がかかるのと、仕様変更などの際のメンテナンスが必要となります。
「特化型」は人事システムや経理システムなど、業務に特化したものです。業務がパッケージ化されているため、設定や変更が汎用型と比べると容易で、初心者でも扱いやすいRPAです。
社内システムとの適合性で選ぶ
RPA選定においては、自動化したい業務がどのようなシステムを使っていて、そのシステムと適合性があるかどうかも重要です。他業務との兼ね合いや、導入担当者のリソースも考えておきましょう。
RPAツールの導入手順
RPAを導入するにあたり、それぞれの手順や注意点をまとめます。
①社内の課題やRPA導入目的を明確にする
RPAを使って解決したい課題や導入目的を書き出しましょう。
よくある目的として、作業時間の削減が挙げられます。その作業をロボットに代替したら、どれくらいの時間が削減でき、代わりにどの業務をできるかまで具体的になっていると、社内承認が下りやすくなります。
②RPAを導入する業務を決める
RPAで自動化できるのは主に定型業務です。社内にある定型業務を書き出してみるのが良いでしょう。
例えば、毎日とある社員がMicrosoft Excelで売上情報をまとめているとします。その作業は以下のように分解できます。
- 営業担当者がデータベースに売上情報を入力する
- 朝9時にデータベースへパスワードを入力してログインする
- 前日の売上情報をダウンロードする
- 所定のフォーマットに売上情報をまとめる
この作業のどの部分を、ロボットに担ってほしいかを考えます。
③業務に合うRPAツールを選定する
ロボットに任せる業務を決めたら、RPAツールを選定します。先ほど触れた通りRPAツールには「汎用型」と「特化型」があるため、導入する業務が決まってからRPAツールを選ぶことが大切です。
また、担当者が使いこなせるかどうかも重要なポイントです。専門知識を持った担当者がいない会社では、プログラム言語が必要なツールを導入するのは厳しいでしょう。まずはノンプログラミングで扱えるツールを選ぶのがおすすめです。
④運用ルールを決める
運用ルールを決め、マニュアル化しておきましょう。
ルールの一例を挙げてみます。
- 誰がどんな目的でどのように開発をしたかを明文化する
- ロボットが業務を行う手順書をマニュアルとして保存しておく
- 定期的に検査をし、業務が適切に遂行されているかどうかを確認する
ロボットに任せた業務をおこなっていた人間が異動・退職をしたため、ロボットに不具合があるとその業務ができなくなっては本末転倒です。人間も同じ業務をできるよう、手順書を必ず残しておきましょう。
⑤テスト運用
開発環境にてプログラムを組んだら、実際にテスト運用をしてみます。
運用部門への説明、確認も合わせておこないましょう。
RPAの導入事例
RPAの導入事例記事へ内部リンク
まとめ
さまざまなRPAツールが存在しますが、システム・業務・費用など自社に合ったものを導入するのが、導入成功への重要なポイントです。
まずは、社内の定型業務を書き出してみて、自動化できそうな業務を割り出してみましょう。そうすれば、おのずと導入すべきRPAツールが明確になってくるはずです。