RPA基礎知識

RPA開発を自社でする時のポイント|開発手順や必要なスキルについて解説します

RPA開発を自社でする時のポイント|開発手順や必要なスキルについて解説します

RPA開発2つの手法

RPA開発方法にはノンプログラミングでできる簡易型とコーディングの知識が必要なもののカスタマイズしやすい開発型の2種類があります。

簡易型(画面操作記録)

一つ目は画面操作を記録する形で自動化する、簡易型と呼ばれるものです。簡易型はプログラミングの知識がなくても構築することができます。プログラミング経験が無い担当者でも、PC上でドラッグ&ペーストなどの操作をするだけで、RPA構築が可能です。

開発型(コーディング)

もう一つの手法はコーディングが必要な開発型です。おそらくプログラミングと聞いて思い浮かべるのはこちらが多いでしょう。CSS、HTML、C言語などのプログラミング言語を使って、様々なコマンドを組み合わせます。コーディングができる人がいれば、自分でカスタマイズして機能を追加するなど高度な設定も可能です。

RPA開発経験者が社内にいるなら、開発型の導入に挑戦してみてもよいでしょう。

RPA開発にあると有利なスキル

RPA開発にあると有利なスキル

RPA開発には基本的に特別なスキルは不要です。しかし、基礎的なプログラミングスキルやMicrosoft社のアプリで使えるマクロなどの知識・スキルがあると便利です。

基礎的なプログラミングスキル

全くプログラミングをしたことが無い人へ、いきなり「プログラミングしてください」と言ってもできるものではありません。ノンプログラミングでも問題なく開発ができるツールでも、機械に指示を出す能力が必要です。すなわち、論理的に考える力が大切になってきます。

例を挙げると、キーボードの「1」ボタンを押すと、「1」が入力される、「Shift」を押しながら「1」を押すと「!」が入力される、この2つの事象はパソコンを使っていてキーボード入力ができる人にとっては当たり前のことです。この事象はプログラミングで成り立っています。

先ほどの例には条件分岐がありました。

  • 「◯◯という指示があった」→■■は無い→▲▲をする
  • 「◯◯という指示があった」→■■も同時にあった→△△をする

これを「1」ボタンに例えると以下の通りです。

  • 「1が押された」→Shiftは無い→画面に「1」を表示させる
  • 「1が押された」→Shiftも同時に押された→画面に「!」を表示させる

もし、「Capslock」がONになっていたら?「Alt」ボタンも同時に押されていたら?といった分岐も合わせて考える必要があります。

目的は「1」を表示させることなのか、それとも「!」を表示させたいのか、分岐をどうするのかなど、目的を果たすためにどのような道筋を立てれば良いのかを考えるのは人間の仕事です。
プログラミングには「物事を順序立てて考え、適切な分岐点を設定し、目的を果たすために考える能力」が求められます。

VBAやマクロのスキル

Microsoft WordやMicrosoft Excelは事務職なら必ずと言っていいほど使用するソフトです。この2つもプログラミング開発で処理を自動化することができます。その機能がこの章で紹介するVBAとマクロです。

マクロはMicrosoft Office上で処理を自動化するための機能です。VBAは「Visual Basic for Applications」の略で、Microsoft社がMicrosoft Officeの拡張機能として提供している、マクロを作成するためのプログラミング言語のことを指します。

  • 毎日決められたドキュメントを作成する
  • ある数字が入っているセルを青くする
  • Microsoft ExcelをMicrosoft Wordへ入力する

などといった業務をマクロ機能で登録できるようになります。Microsoft WordやMicrosoft Excelはなじみのあるソフトなので、まずはここからプログラミングを始めてみてはいかがでしょうか。

RPAを自社で開発するメリット

RPAを自社で開発するメリット

ここでは、RPAを自社で開発するメリットを3つ解説します。

自動化の仕組みをいつでも導入できる

自動化したい業務が出てきたときにすぐに実装できるのが一番のメリットです。
他社での開発だと、下記の手順を踏む必要があります。

  • 上席や他の社員とのすり合わせ
  • 制作会社との要件ヒアリング
  • ヒアリングをもとに見積をもらう
  • 予算会議をする

会社にもよりますが、大きな会社であればあるほど上記には時間がかかり、その間業務に取り掛かっている社員は業務改善ができません。スピード感が欲しいなら自社開発に取り組みたいところです。

変更や改修に柔軟に対応できる

自社内でRPA開発ができれば、ちょっとした変更や改修にも柔軟に対応できます。

  • 「◯◯」という単語が出てきたときにセルを赤くしているが、青にしたい。
  • ファイルを作成する時間を10時ではなく9時にしたい。
  • サービスが増えたので要件を変更したい。

などといった、変更を他社にお願いしていると都度人員と費用がかかってしまいます。「別に他社に開発してもらう案件ではない」のかもしれませんが、このちょっとしたことが社員の業務改善につながります。

コストが削減できる

他社開発だと以下のコストがかかります。

  • 専門エンジニアの人員
  • 作業時間
  • ヒアリング費用 など

特に専門的な知識を持つエンジニアの時給は高額になる傾向があるため、先ほどの章で触れたとおり、「ちょっとしたこと」なら予算が下りない可能性があります。

ノンプログラミングで開発できるRPAを導入し、自社開発をしたほうがコストは削減できるのです。

RPA開発までの手順

RPA開発までの手順

社内でRPA開発をする手順を詳しく解説していきます。

①社内での課題を挙げ、RPA導入の目的を明確にする

まずは現在取り掛かっている業務を整理し、社内での課題を挙げていきましょう。例えばこのような課題はありませんか。

  • 毎朝、Webサイトの問い合わせフォームに入力された見込み顧客リストを作っているが、見込み顧客の入力にミスが多く、手作業で直すのが負担だ。
  • 請求書をメールで送付する作業に1時間かかっている。月末は残業になってしまうこともある。
  • 社内からの経費申請をチェックするのに時間がかかる。レシートをスキャンするだけで自動で項目入力できれば間違いが減るのでは?

課題をいくつか出してみれば、RPA導入の目的が明確になってくるはずです。上記のような事務作業はRPA導入で削減できるかもしれません。

②RPAを導入する業務を決め、フローを可視化する

1で挙げた課題をもとに、RPAで自動化する業務を決定し、業務フローを可視化しましょう。

ここでは、下記の例をもとにフローを作ってみます。

毎朝、WebサイトHPの問い合わせフォームに入力された見込み顧客リストを作っているが、見込み顧客の入力にミスが多く、手作業で直すのが負担だ。

業務フローは以下の通りだとします。

  1. 8時にホームページの管理者アカウントにログインする
  2. 問い合わせフォームの情報をCSVファイルでダウンロードする
  3. 3でダウンロードしたファイルをxlsへ変換する
  4. お客様の入力が正しいか目視でチェックする
  5. 明らかな間違いがあれば、お客様へ問い合わせをする
  6. 重複があれば手動で消す
  7. 問い合わせ数を数える
  8. 営業に見込み顧客リストをメールする

RPAで自動化できる業務はどれでしょうか。

  • 管理者アカウントにログインする
  • 問い合わせフォームの情報をCSVファイルでダウンロードする
  • 3でダウンロードしたファイルをxlsへ変換する

ここまでは定型業務のため、自動化できそうです。

  • 明らかな間違いがあれば、問い合わせをする

上記については、もう少し具体的にしてみましょう。

間違いの一つが「住所の番地が入力されていない」だとします。

番地は数字で入力する方が多いと思われますので、「住所欄に数字が入力されていなければ、セルを黄色にする」という業務をロボットに担ってもらえば、目視の負担や見逃すミスが減ります。

  • 重複があれば手動で消す

インターネットの接続状況によって2回続けて送信されてしまうかもしれません。ロボットの作業として「同じ名前・メールアドレスの人が複数回送信していたら、セルを青色にする」といった業務を追加できそうです。

このように、業務を具体的に可視化し、RPAで自動化できそうな業務を考えていきましょう。

③業務に合うRPAツールを選定する

自動化したい業務がいくつか決定したところで、合うRPAツールを選定します。

また、自社内に使いこなせる人間がいるかどうかも重要です。プログラミングに詳しい人がいなければ、ノンプログラミングでできるRPAを選定する必要があります。

使い勝手はもちろんですが、保守やメンテナンス費用、自社システムと親和性があるかどうかも加味して選んでいきましょう。

④運用ルールを決める

次は運用ルールを決めていきます。

RPA化することで、社内のシステムや他部署の業務に影響があるかもしれないため、業務を自動化するときは関係部署と協議するのがベターです。

承認は誰がするのか、この業務に影響がある部署はどこなのか、実装作業は誰がするのか、トラブルが発生した時の対処方法など、運用ルールを決めておけば混乱を最小限に抑えられます。

⑤テスト運用

開発環境でテスト運用をしてみて、問題点を洗い出します。場合によってはシステム関連の部署にも確認してもらうのがよいでしょう。

問題点が解消されたら本番環境へ移行します。

まとめ

簡易型と呼ばれるRPA開発ソフトを使えば、プログラミングスキルは不要ですが、基礎的なプログラミングスキルは求められます。

RPA導入を検討している担当者は、まずRPAで何の課題を解決したいかを考え、導入フローを決定し、自社に合ったソフトの導入を考えていきましょう。

ちなみに、ノンプログラミングで開発が可能なRPA製品で代表的なものは、SoftBank社の「SynchRoid」や、RPAテクノロジーズ社の「BizRobo!」です。

初めてRPAを開発する方に向けてのe-Learningサポートなども充実しており、プログラマが不在の企業でも導入することができます。

また、最近では、SynchRoidとBizRobo!ユーザ様向けに、すでに開発済みの各種業務自動化ロボットが無料でダウンロードできるサービス「ROBOT-HUB」の提供も始まりました。

RPAの導入と開発のハードルが低くなり、多くの中小企業で業務効率化の可能性が広がっています。

 

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