RPA基礎知識

DX人材に必要な5つのスキルと7つの役割とは?

ここ数年で、DXの必要性を感じて自社で推進したいと考える企業は増えてきています。

しかしながら、DXが必要であるという問題意識はあっても、DXを進める上で必要な人材や具体的なスキルを理解している企業は非常に少ないといえます。

DX推進に求められるスキルや人材が明確化されないため、DXに十分に取り組めないというのが現状ではないでしょうか?

本記事では、DX人材とはどういう役割を持つ人材なのか?どんなスキルが必要なのか?DXに必要な人材確保の課題についてお伝えします。

DX推進に必要なスキルと役割を理解し、自社のDXを円滑に進めていきましょう。

 

DX人材とは

DX人材とは

経済産業省が2020年12月に公表した「DXレポート2」では、DX人材について次のように記載されています。

自社のビジネスを深く理解した上で、データとデジタル技術を活用してそれをどう改革していくかについての構想力を持ち、実現に向けた明確なビジョンを描くことができる人材

つまり、DX人材とは

①自社のビジネスを深く理解した人
②データとデジタル技術を活用できる人
③どう改革していくかについての構想力を持つ人
④実現に向けた明確なビジョンを描く人

このようにいくつもの能力を持った人材と言えます。

 

DX人材の課題

DX人材の課題

2018年より経済産業省が「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」を掲げ、DXの普及に努めました。

しかし、2020年に公表した「DXレポート2」によると、95%の企業はDXに全く取り組んでいないか、取り組みはじめた段階であり、全社的な危機感の共有や意識改革のような段階に至っていません。

その理由の一つに「DX人材」の不足があります。

DXが普及していくのに対して、DX推進に必要な人材が圧倒的に不足しているのです。

その背景として、多くの企業が、デジタルやIT、システム開発などに長けている「DX人材」がいないためDXが進まないと誤解しているところにあります。

DX人材は先述の通り、「自社のビジネスを深く理解した上で、データとデジタル技術を活用してそれをどう改革していくかについての構想力を持ち、実現に向けた明確なビジョンを描くことができる人材」です。

もちろん、デジタルやIT、システム開発などに長けている人材も必要ですが、企業において社内のDX活動をけん引していく人材が不可欠なのです。

つまり、自社のビジネスを深く理解した上で、DX活動を進めたり、DX推進プランを考えたり、DXを実行したりする人材が必要と言えます。

「DX人材」の不足という課題は、いきなり社外からDX推進の有識者を確保するのではなく、まずは自社のビジネスを深く理解している人材を社内で選出することからはじめると解決の糸口となるでしょう。

 

DX人材に求められる役割

DX人材に求められる役割

IPAが発表した「DX推進に向けた企業とIT人材の実態調査」(2020年5月)によると、DX推進に必要な人材は、次の7つの職種に分けられます。

  • プロダクトマネージャ
  • ビジネスデザイナー
  • テックリード (エンジニアリングマネージャ、 アーキテクト)
  • データサイエンティスト
  • 先端技術エンジニア
  • UI/UXデザイナー
  • エンジニア/プログラマ

それぞれの役割についてお伝えします。

 

プロダクトマネージャ

プロダクトマネージャは「DXやデジタルビジネスの実現を主導するリーダー格」としての役割を持つ人材になります。

主に自社のビジネスを深く理解している管理職クラス、事業のエース、それに準ずる人材を任命するとよいでしょう。
また、変革課題を持っている人、課題設定力がある人、ビジョンを提唱し、行動に移す、想いのある人もプロダクトマネージャとしての役割に適しています。

ビジネスデザイナー

ビジネスデザイナーは「DXやデジタルビジネス(マーケティング含む)の企画・立案・推進等を担う 」役割を持つ人材になります。

ビジネスと技術の両方に明るい人材が望ましいですが、特にビジネスをよく理解している人材を任命するとよいでしょう。
また、自発的に行動し、チャレンジできる人がビジネスデザイナーとしての役割に適しています。

 

テックリード (エンジニアリングマネージャ、 アーキテクト)

テックリード は「DXやデジタルビジネスに関するシステムの設計から実装ができる 」役割を持つ人材になります。

社内にデジタルやシステムに強い人材がいればよいですが、いない場合は外部から経験者を中途で採用するとよいでしょう。
技術のある社内エンジニアが登用されるケースもあります。

データサイエンティスト

データサイエンティストは「事業・業務に精通したデータ解析・分析ができる」役割を持つ人材になります。

社内で素養がある人材を育成したり、新入社員で採用するケースもあります。
研修後は、職場での実務経験を通じて身につけられる(OJT)ようにフォローアップすることも大切です。

先端技術エンジニア

先端技術エンジニアは「機械学習、ブロックチェーンなどの先進的なデジタル技術を担う」役割を持つ人材になります。

テクノロジーの変化の速度が早く、 先進的なデジタル技術に長けた人材と外部連携で補完することが望ましいでしょう。
もし、社内に技術を保有している人材がいる場合は、その技術力を生かした推進を検討しましょう。

UI/UXデザイナー

UI/UXデザイナーは「DXやデジタルビジネスに関するシステムのユーザ向けデザインを担当する」役割を持つ人材になります。

顧客向けアプリケーションを開発している企業では、社内にシステムのユーザ向けデザインができる人がいるかもしれません。
通常は、先端技術と同じように外注することが多いでしょう。

エンジニア/プログラマ

エンジニア/プログラマは「システムの実装やインフラ構築・ 保守等を担う」役割を持つ人材になります。

SIer(エスアイヤー)といって、システム開発にまつわる全ての業務を引き受ける企業が担うことが多いでしょう。

 

DX人材に必要なスキル

DX人材に必要なスキル

DX推進に必要な人材は、7つの職種に分けられると前章でお伝えしましたが、DX人材になるためにはどのようなスキルが必要でしょうか?
DX人材に必要なスキルの中から代表的な5つのスキルを紹介します。

  • ITの基礎知識
  • AIなど先進技術に対する知見
  • データ分析能力
  • UI/UX志向
  • プロジェクトマネジメント力

それでは、5つのスキルを一つ一つずつ説明していきます。

 

ITの基礎知識

DX人材に必要なスキルの1つ目は「ITの基礎知識」です。

「ITの基礎知識」は、インターネットやWebの技術を使ったサービスやアプリケーションの仕組み、OSやアプリケーションケーションなどのソフトウェアの開発など、デジタル技術を用いた課題解決をするスキルです。

DX推進のためのITの基礎知識はデジタル技術だけでなく、自社のビジネスの課題解決に向けた聞き取りやITに詳しくない人にもわかりやすく伝える能力も兼ね備えるスキルも必要となります。

 

AIなど先進技術に対する知見

DX人材に必要なスキルの2つ目は「AIなど先進技術に対する知見」です。

「AIなど先進技術に対する知見」は、先端技術に関する新しい情報に日頃からアンテナをはり、自社のビジネスにどのように生かすことができるかを模索し続けるスキルです。

DX推進して完了ではなく、常にAIなどの先端技術に関する新しい情報をキャッチし、ビジネスを変革させていくスキルも必要となります。

 

データ分析能力

DX人材に必要なスキルの3つ目は「データ分析能力」です。

「データ分析能力」は、データの分析や予測などをビッグデータや機械学習を活用して行うスキルです。

DXという観点から、データの分析や予測などをビッグデータや機械学習を活用できるだけでなく、データ分析の精度を常に上げて、上手く活用できるスキルも必要となります。

 

UI/UX志向

DX人材に必要なスキルの4つ目は「UI/UX志向」です。

「UI/UX志向」は、利用者の思考や行動を調査・分析して深く理解し、利用者にとって使いやすいシステムを作ろうとするスキルです。

どんなに素晴らしいシステム開発をしても、利用者にとって使い勝手が悪かったり、望んでいる結果が得られないのであれば、DX活動を推進する一歩を踏み出せたとはいえません。

プロジェクトマネジメント力

DX人材に必要なスキルの5つ目は「プロジェクトマネジメント力」です。

「プロジェクトマネジメント力」は、自社のビジネスの課題を、正しく把握し、戦略策定や問題分析・解決に向けたスケジュールを管理し、実行していくスキルです。

ビジネスはいつも同じではなく、常に変化していくものです。そのような環境の中でも個々やチームの全体を俯瞰し、マネジメントできるスキルが必要となります。

 

DX推進のためには人材確保が課題

DX推進のためには人材確保が課題

はじめに、DX人材とは「自社のビジネスを深く理解した上で、データとデジタル技術を活用してそれをどう改革していくかについての構想力を持ち、実現に向けた明確なビジョンを描くことができる人材」であるとお伝えしました。

DX推進は、デジタルやIT、システムに詳しい人だけではできません。

自社のビジネスを深く理解し、どこをめざそうとしているのか?どんな姿になりたいのか?そのために何が問題でどう解決できるのか?と自社を俯瞰するスキルを持つ人材が必要になります。

労働力調査(基本集計)2021年(令和3年)平均結果の概要によると、労働力人口が前年より8万人減少している中、どの企業も、DX推進のための人材確保が課題となっております。

DX推進のための人材を確保するためには、まず、会社がDXを通じてなりたい姿になれるようにDX推進をけん引してくれる人や俯瞰的に物事を見れる人を一番はじめに社内から選出します。

その後は、なりたい姿に向かって一緒に実行してくれる人を社内外から選出するとよいでしょう。

しかしながら、選出した全員が前章で挙げてきたDX人材やスキルを兼ね備えているわけではありません。

今までの知識や経験では足りない部分は、DX人材として育成したり、外部専門家と連携したりすることが必要です。

これまで述べてきたスキルや役割だけでなく、知的探求心や挑戦心もDX人材には欠かせない要素になります。

 

まとめ

まとめ

DXは必要だから自社で推進したいと思っても、DXを進める上で必要な人材や具体的なスキルを理解している企業は非常に少ない状況です。

なにより労働人口が年々減少傾向のため、DX人材を社外から呼ぶだけでなく、自社の中で適任となる人材を選出し、育てる必要があります。

本記事では、DX人材とはどういう役割を持つ人材なのか?どんなスキルが必要なのか?DXに必要な人材確保の課題についてお伝えしました。

DX推進に必要なスキルと役割を理解し、自社のDXを円滑に進めるために、DX人材のスキルを育てていきましょう。

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