RPA基礎知識

RPAとDXはどう違う?デジタル化推進に欠かせないRPAとは

RPAとDXはどう違う?デジタル化推進に欠かせないRPAとは

デジタル化が推進されている中、RPAとDXという言葉をよく耳にしますが、それぞれの違いは何でしょうか?また、RPAは何のために必要なのでしょうか?

本記事では、RPAとDXの違いや、DXを推進していく必要性、RPAが取り組みやすい理由などをご紹介いたします。

RPAとDXのことを理解し、デジタル化を推進していきましょう。

RPAとは

RPAとは

RPAとは、「Robotic Process Automation」 の頭文字を取った言葉で、「ロボットによる業務プロセスの自動化」を意味します。

総務省では、次のように説明されています。
(※以下、総務省Webサイトからの引用のため、「パソコン」「ユーザー」などレギュレーションに沿わない表記となっています↓)

これまで人間が行ってきた定型的なパソコン操作をソフトウエアのロボットにより自動化するものです。具体的には、ユーザー・インターフェース上の操作を認識する技術とワークフロー実行を組み合わせ、表計算ソフトやメールソフト、ERP(基幹業務システム)など複数のアプリケーションを使用する業務プロセスをオートメーション化します。

出典:総務省ホームページ (https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin02_04000043.html

RPAは、PC上で行う業務の多くを自動化できますが、得意な業務と不得意な業務があります。

【RPAが得意な業務】
①手順が決まった業務
・MicrosoftExcelのファイル内の情報を社内システムに転記
・社内システムからMicrosoftExcelにデータを出力
②情報収集
・複数の企業から代表者名・電話番号を収集
・複数の EC サイトから特定商品の価格を抽出しリスト化
③電話・メール対応
・決まった宛先へのメール送信
・クレーム対応履歴の記録転記

【RPAが不得意な/できない業務】
①判断が必要な業務
・新しい企画や戦略を考える
・来客や電話に対応する
・分析した情報をもとに計画を立てる
②物理的操作を伴う業務
・書類をスキャンする
・物理的なボタンを押す作業
③ルールが頻繁に変わる業務
・ファイル保存位置が頻繁に変わる業務

RPAの得意な業務を見ていただくとわかるように、RPAは定型的なPC操作を自動化するツールなのです。

 

DXとは

DXとは

DXとは、「Digital Transformation / デジタルトランスフォーメーション」の頭文字を取った言葉で、「デジタル化により社会や生活の形・スタイルが変わること」を意味します。

中小企業庁では、次のように説明されています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

出典:中小企業庁「ミラサポplus」(https://mirasapo-plus.go.jp/hint/15869/

デジタル化によってトランスフォーメーション(変革)させるのは、製品、サービス、ビジネスモデルという「企業の売り物」だけでなく、業務、組織、プロセス、企業文化・風土という「企業組織・企業活動」におよびます。

かなり広範囲でのデジタル化のトランスフォーメーション(変革)を意味します。

その目的は、競争上の優位性を持つ、すなわち「今よりも省力的かつ効率的に業績アップする仕組みをつくること」なのです。

 

RPAとDXの違い

RPAとDXの違いRPAとは、「ロボットによる業務プロセスの自動化」を意味します。
DXとは、「デジタル化により社会や生活の形・スタイルが変わること」を意味します。

RPAとDXの意味を並べてみてわかる通り、DXは大きな変革を意味し、PRAはその変革をもたらす行動だといえます。

すなわち、RPAはDXを進めるための手段であるのです。

 

なぜDXを推進していく必要があるのか

なぜDXを推進していく必要があるのか

では、そもそもなぜDXを推進していく必要があるのでしょうか?

平成30年9月7日に経済産業省から発表されたデジタルトランスフォーメーションに向けた研究会の「DXレポート」によると、過去の技術や仕組みで構築されているシステム(レガシーシステム)を企業の約8割が抱えており、そのレガシーシステムは、保守・運用がある業務を特定の人が担当し、その人にしかやり方が分からない状態であることがわかりました。

その人にしかやり方が分からない状態であるということは、引継ぎが難しい面があると考えられます。

今後、IT人材不足になることもあることから2025年までにシステム刷新を集中的に推進する必要があり、そのためにDXを推進していく必要性があると言われています。

「2025年の壁」と言われる経営課題

2025年までにシステム刷新を集中的に推進する必要があると言われる「2025年の壁」はどのようなものでしょうか?

DXレポート」では次のように挙げられています。

多くの経営者が、将来の成長、競争力強化のために、新たなデジタル技術を活用して新たなビジネス・モデルを創出・柔軟に改変するデジタル・トランスフォーメーション(=DX)の必要性について理解しているが・・・

・ 既存システムが、事業部門ごとに構築されて、全社横断的なデータ活用ができなかっり、過剰なカスタマイズがなされているなどにより、複雑化・ブラックボックス化

・ 経営者がDXを望んでも、データ活用のために上記のような既存システムの問題を解決し、そのためには業務自体の見直しも求められる中(=経営改革そのもの)、現場サイドの抵抗も大きく、いかにこれを実行するかが課題となっている

→ この課題を克服できない場合、DXが実現できないのみでなく、2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性(2025年の崖)。

「2025年の壁」とは、既存システムを複雑化・ブラックボックス化した問題を解決できないことにより、2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性があることを指します。

今後の経営課題である複雑化・ブラックボックス化した既存システムは、廃棄や塩漬けにするもの等を仕分けしながら、必要なものについて刷新しつつ、DXを実現する必要があります。

既存システムの老朽化

現在、過去の技術や仕組みで構築されているシステム(レガシーシステム)を抱えている企業は8割あり、もし、その企業がこのまま既存システムを放置し、老朽化させ、ブラックボックス化してしまう場合、どのようなことになるのでしょうか?

【既存システムのブラックボックス状態を解消できない場合】
① データを活用しきれず、DXを実現できないため、デジタル競争の敗者に
② 今後、システムの維持管理費が高騰し、技術的負債が増大
③ 保守運用者の不足等で、サイバーセキュリティや事故・災害によるシステムトラブルやデータ滅失等のリスクが高まる

「2025年の壁」を乗り切ることができず、最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性を実現に近づいてしまいます。

今のうちから既存システムの老朽化を食い止め、刷新をすることで、DXの基盤となるITシステムを手に入れ、本格的にDXを展開することができるでしょう。

 

DXはRPAの導入から始めよう

DXはRPAの導入から始めようDXを本格的に展開していきたいものの、どんなことから始めていけばいいか正直悩むところではないでしょうか?

このようにDXを取り組むことがいまいちイメージできず、DXは難しいと感じられる企業は少なくありません。

その場合はまずRPAの導入から始めてみましょう。
実は、DXの取り組みの中で割と導入しやすいのは、RPAです。

RPAがなぜ導入しやすいのか?

その理由を3つ紹介いたします。

・エンジニアでなくても利用できる
・自社で開発可能
・スモールスタートで実践できる

では、一つ一つ解説いたします。

エンジニアでなくても利用できる

RPAは導入しやすい理由の一つ目は、「エンジニアでなくても利用できる」ことです。

RPAは、プログラミング能力が必要なマクロやシステム開発能力が必要なシステムを比べると、特別なスキルが必要ではない製品もあるため、非エンジニアでも利用できます。
また、視覚的に作成、編集できる製品も多いため操作難易度も高くありません。

自社で開発可能

RPAは導入しやすい理由の二つ目は、「自社で開発可能」なことです。

RPAでは、ロボットと呼ばれる作業一つ一つをステップ分けした「作業手順」を作成し、手順通りに動くよう開発を行います。そのため、マクロを使う際に必要なプログラミングやその他システム開発を使う際に必要な知識や技術はほとんど不要のため、自社で開発することも可能です。

スモールスタートで実践できる

RPAが導入しやすい理由の二つ目は、「スモールスタートで業務効率化が実践できる」ことです。

RPAは、システム開発の知識や技術が必要なものと比べると導入までの期間は短く、導入コストも抑えられる傾向があるため、スモールスタートで業務効率化に取り組むことができます。

上記3つの特徴に比較的当てはまる製品として、SoftBank社の「SynchRoid」や、RPAテクノロジーズ社の「BizRobo!」が挙げられます。

この2つのRPA製品は基本的にノンプログラミングで開発が可能であるため、業務効率化や自動化に先駆けて取り組み始めた全国の中小企業に広く使用されています。

また、最近では、SynchRoidとBizRobo!ユーザ様向けに、すでに開発済みの各種業務自動化ロボットが無料でダウンロードできるサービス「ROBOT-HUB」の提供も始まりました。

RPA導入がますますスモールスタートできると言えるでしょう。

 

RPA導入でDXを進めるために重要なポイント

RPA導入でDXを進めるために重要なポイントRPAを導入して、DXを進めていくために重要なポイントを3つ紹介いたします。

【RPA導入でDXを進めるために重要なポイント】
・RPAのメリットデメリットを知る
・自社で開発するためのポイントを知る
・RPAが導入できる業務を知る

この3つを押さえることで、RPA導入が一段とスムーズに進められますので、一つ一つしっかり学んでおきましょう。

RPAのメリットデメリットを知る

RPAを初めて導入する方は、RPAを導入することによってどんなメリットやデメリットがあるのか、まずは知りたいのではないでしょうか。

RPA導入のメリットと言えば、人件費を削減し、業務を効率化、生産性の向上が実現でき、会社の成長へも大きくつながることが挙げられます。

反対にデメリットと言えば、RPAを導入しても作業内容の変更などに対応したメンテナンスが必要であるとか、費用対効果が高いとも限らないとか、メリットで挙げられた人件費削減が思うように行かない可能性があるなどが挙げられます。

こちらの記事では、RPAの仕組みから、導入することでのメリット、デメリットについて順を追って解説しています。

更に、導入後に起こりうるデメリットを避けるために導入の際に注意すべきポイントについても解説していますので、詳しくはこちらをご覧ください。

>>RPA導入のメリットとデメリット|導入時に気を付けるポイントとは?

自社で開発するためのポイントを知る

RPAは自社開発が可能です。

しかしながら、どのように自社開発をすればいいか悩ましいところではないでしょうか?

RPA導入においてプログラミング以上に大切なのは、「導入ステップ」の把握になります。

「どの業務でどの程度の効果を得たいのか」といった現状の把握と、明確な目的や目標の設定が曖昧な状態では、RPAを自社開発するのは難しいものとなるでしょう。

こちらの記事では、RPAを自社で開発するためのポイントを詳しく解説しております。合わせてお読みください。

>>RPA開発にプログラミングスキルは必要?ノンプログラミングで実現するRPA導入の手段

RPAが導入できる業務を知る

RPA導入の際には、RPAが導入できる業務を知ることが大切です。

いきなり現場に自動化したい作業を聞いてみても、現場で作業する人からすると、何がロボットで自動化できるか分かりません。

そのため、あらかじめ自動化できそうな作業を2〜3個ほど開発し、作業している方に実際使ってもらい、その便利さに気づいてもらうことで、「これもRPAで自動化できるのではないか」と気づいてもらえるようになります。

RPAの導入を進める上で、大変なことは「どの作業を自動化できるか」を判断することです。

北海道札幌市に本社を置く「東洋株式会社」は、印刷業務を中心に、Webマーケティングやリクルートなど多岐にわたって事業を展開している企業であり、2020年から社内業務にRPAの導入を進めることで、繁忙期の作業の自動化し、約3200時間の作業時間削減に成功しました。こちらに詳しい導入事例の記事がありますので、合わせてご覧ください。

>>【RPA導入事例】繁忙期の作業の自動化し、約3200時間の作業時間削減に成功

 

まとめ

まとめここまで、RPAとDXの違いや、DXを推進していく必要性、RPAが取り組みやすい理由などをご紹介いたしました。

RPAとDXのことを、最後に簡単にまとめて紹介いたします。

【RPAとDXの違い】
RPA・・・ロボットによる業務プロセスの自動化
DX・・・デジタル化により社会や生活の形・スタイルが変わること

RPAとDXの意味を並べてみて分かる通り、DXは大きな変革を意味し、PRAはその変革をもたらす行動だといえます。

 

すなわち、RPAはDXを進めるための手段となるのです。

【DXを推進していく必要性】
過去の技術や仕組みで構築されているシステム(レガシーシステム)を企業の約8割が抱えており、そのレガシーシステムは、保守・運用がある業務を特定の人が担当し、その人にしかやり方が分からない状態であることが多いと経済産業省により公表されています。

この問題を「2025年の壁」と言い、今のままでは「2025年の壁」を乗り切ることができず、最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性があると言われています。

 

今後、IT人材不足になることもあることから2025年までにシステム刷新を集中的に推進する必要があり、そのためにDXを推進していく必要性があるとみられています。

【RPAが取り組みやすい理由】
・エンジニアでなくても利用できる
・自社で開発可能
・スモールスタートで実践できる

国によりデジタル化が推進されている中、DXを本格的に展開しない手はありません。

 

しかしながら、どんなことから始めていけばいいか分からない、DXを取り組むイメージがいまいち分からないと、DXは難しいと感じられる企業も多いでしょう。

DXの取り組みの中で導入しやすいのは、RPAです。

まずは、DXの第一歩としてRPA導入を取り組まれてはいかがでしょうか?

RPAの導入で「ロボットによる業務プロセスの自動化」し、それがDXの第一歩として「デジタル化により社会や生活の形・スタイルが変わること」に成功し、ひいては「今よりも省力的かつ効率的に業績アップする仕組みをつくること」に近づくことができることでしょう。

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