RPA /DX導入事例

【RPA導入事例】繁忙期の作業の自動化し、約3200時間の作業時間削減に成功

北海道札幌市に本社を置く「東洋株式会社」は、印刷業務を中心に、webマーケティングやリクルートなど多岐にわたって事業を展開している企業です。

同社は2020年から社内業務にRPAの導入を進めてきました。印刷の繁忙期となる年末に作業量が膨らむ入力作業を自動化し、大幅な作業効率化に成功しています。

今回は導入から開発に携わった森久保さん、現場で実際にRPAを活用している佐藤さんにお話を伺いました。


企業名:東洋株式会社
URL:https://www.toyo-grp.co.jp/
導入したRPA:SynchRoid(ソフトバンク)
自動化した業務:印刷物のデータの入力作業、業務の進捗状況のチェック
導入前の課題:繁忙期に作業量が増えるが作業期間が限られているため逼迫する
導入後の変化:作業時間の激減、作業の簡素化で他部署からの応援でも対応できる

繁忙期に増え続ける作業を簡素化し作業時間を激減

まずは、導入するに至った背景を教えてください。

佐藤さん:当社は印刷業がメインであり、特に年末の年賀はがきを制作する時期には大量の注文が来ます。手書きの申し込み用紙に記入されたものを手動で入力し、それを印刷物作成用ソフト(Indesign)に落とし込むという作業があるのですが、工数が多く作業時間がかかってしまいます。

その上年賀はがきという特性上、作業できる期間が短いので、現場からは「時間がかかる」「やることが多いのに作業できる期間が少ない」という声が多く上がっていました。

作業できる人員も限られているため、自動化できるところはしていきたいと思い、ソフトバンク社の提供するSynchRoidの導入を決めました。

SynchRoid導入後は申し込み用紙をスキャンするだけで、手書き文字の読み取り、エクセルへのデータ入力、デザインをデザイン作成ソフト(Illustrator)に取り込み、文字組みまで完了することができます。

スキャン後の作業は文字の校正と細部のバランスの調整のみなので、作業時間が大幅に削減されました。また、ボタンを押すだけで完了するので、他部署から応援で来た人でも作業できることも効率化に繋がりました。

通常業務でも積極的にRPAを導入

その他の業務でもRPAを導入している事例はありますか?

佐藤さん:はい。通常業務でも自動化に向けて導入を進めています。

例えば、毎日行うデータの校了から印刷までの進捗をチェックする作業があるのですが、これまではデータを自分で情報管理システムからMicrosoftExcelをダウンロードして、必要になる事項を追記して、営業担当などと進捗を共有する流れでおこなっており、毎日1時間近くかかっており、その半分ほどをデータの作成・整理に時間をとられていたのですが、

SynchRoidを導入後は、自動で実績まで出てくるので、手動で情報を入力する必要がなく、営業担当との情報共有のみで済んでいるので、作業時間が1日約10分程度に短縮されました。


この作業は、毎日30〜40件、多いときは100件以上の進捗を確認するので、手順が多いと時間がかかるのと、作業を慣れるまでに時間がかかります。

それが自動化すると、知識がなくてもおこなえるので、誰でもできるというところも作業効率化に繋がりました。

自動化を推進するコツは「業務を知ること」

RPAの導入を進める上で、大変だったことなどはありますか?

森久保さん:もともとプログラミングの知識があったので、その点で困ることはあまりなかったのですが、デザインはパターンが多いので、その分ロボットの分岐を作成をするのが苦労した部分です。

それよりも大変だと感じたのは「どの作業を自動化できるか」を判断することでした。

現場から自動化したい作業を聞いてみたのですが、現場で作業する人からすると、何がロボットで自動化できるか分からなかったので、最初はあまり自動化したい作業が上がってきませんでした。

そこで、実際に作業している人の様子を観察し、MicrosoftExcelへの転記作業や入力処理をしているもの、クラウドサービスでシステムを動かしているもの、Webブラウザで情報収集しているものなど、自動化できそうな作業を2〜3個SynchRoidで開発し、作業している方に使ってもらったら、その便利さに気づいてもらうことができ、「これも自動化してほしい」という声が多く上がってきました。

RPA導入での作業の変化

RPAを導入したことによる作業の変化を教えてください。

佐藤さん:社内の作業全体で、RPAで開発したロボットを60体導入しています。それら全ての作業時間の変化を見ると、従来は3800時間かかっていた作業が600時間に短縮しました。

また、作業量が多いものが多かったので、RPAを導入後は作業が楽になりました。RPAを導入することによって自分の知見にも繋がりました。

今後の活用について

今後、RPAをどのように活用していきたいですか?

森久保さん:まだ社内で自動化が進んでいない作業はまだまだあるので、それを自動化していきたいと思っています。

現在使っているロボットの課題、例えば制作の現場では人が判断しないといけない部分が多いので、デザインなどのデータを紐付けるデータベースを開発するなど、それぞれの業務で運用の見直しを行いながら、より効率化化できるような導入を進めていきたいです。

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