RPA /DX導入事例

【RPA導入事例】単純作業の自動化で、クリエイティブな業務を加速

2021年で創業40周年を迎える大阪市の「シー・システム株式会社」は、主にシステム開発やRPA開発を行い、多くの企業等に対し働き方改革や業務改善を軸にしたソリューション事業を展開する企業です。

特にRPAにおいては導入支援、人材育成、開発支援、運用保守の4つのサービスを展開するだけでなく、自社内の業務改善にも積極的に活用しています。

今回は自社で行った2つのRPA導入について、開発に携わった専務取締役の森下さんと、RPAエンジニア兼総務・経理の安部さんにお話を伺いました。


企業名:シー・システム株式会社
URL:https://seagp.com/
導入したRPA:SynchRoid(ソフトバンク)
自動化した業務:銀行振込や求人スカウトなどの入力作業
導入前の課題:件数が増えるほど作業時間が増加する
導入後の変化:自動入力より作業時間がほぼゼロに

銀行振込処理と自動求人スカウトをRPAで自動化

まずは、RPAを自社に導入するに至った経緯を教えてください。

森下さん:導入したのは2018年の夏です。事業規模を拡大したことにより、人手が足りなくなり、事務作業も煩雑になりました。その課題を解決するために検討されたのが「新たに人を雇う」「RPAを導入する」という2つの案です。ただ「これからはRPAに任せていく時代だ」と判断し、RPAの導入を決めました。

 

具体的にどのような業務をRPAによって自動化されたのでしょうか?

森下さん:銀行振込処理のシステムと自動求人スカウトをRPAによって自動化しました。

まずは銀行振込処理ですが、クラウド会計サービス「MoneyForward」から取引データを取得し、ネットバンキングを通じて銀行へ出力するところまでの一連の流れをRPAで行っています。

また、承認フローでもRPAを使うことで、確認の連続だったものを最後の1回のみに短縮しました。現在人間が行うのは一番最後に印刷する帳票の確認だけです。

一方、自動求人スカウトですが、もともと弊社ではエン・ジャパン株式会社が提供する「エン転職」のスカウト機能を使っています。

ここにRPAを導入して、自動でWebサイトを起動させ弊社の希望にマッチした人材を自動でスカウトするようにしています。人間の手が入ってくるのは、スカウトをかけた相手とのやり取りからです。

 

RPA導入前はどのような作業が手間となっていたのでしょうか?

森下さん:銀行振込処理の方ですと、導入前は1つの申請や振込処理に対し、ページをまたいで5〜6回クリックしたり、都度パスワードを入力したりする必要がありました。

当然、件数が増えれば増えるほど、処理の時間が増えます。面倒に感じていた承認フローでしたが、30分〜1時間ほどかかっていた時間が、自動化によってほぼゼロになりました。

求人スカウトの方で手間となっていたのは、条件を絞って抽出されたWeb履歴書を1つ1つ確認することと、その条件に合う人をひたすらクリックするという作業です。

50人から100人程のWeb履歴書をチェックするのに毎週1時間ほどかかる。条件の入力自体も毎回必要・・・機能自体は良かったのですが、使いたくても時間が足りず、あまり使えない状況が続いていました。ただ、こちらも自動化によって作業自体はゼロになりました。

RPAの開発にはどれくらい時間がかかったのでしょうか?

安倍さん:銀行振込処理の方ですが、開発自体にかかったのは30分程です。ただ、3ヵ月ほど普段の業務と並行しながら練習と改善を重ねていきました。約3分の2ほどの従業員がRPAを使えるので、先輩などにレクチャーを受けながら進めていけたのは弊社ならではだと思います。

実は運用している途中で銀行のシステムが入れ替わったため、RPAも作り直しになりましたが、すぐに作り直せました。自社で開発した利点ですね。

「人がやるべき作業」と「ロボットがやるべき作業」は明確にわかれている

RPAを使うメリットをあらためてお聞かせください。

森下さん:「人がやるべき作業」と「ロボットがやるべき作業」は明確にわかれてきていると感じています。ロボットで自動化できるのは「ひたすら同じことを繰り返す単純作業」です。人間よりも早く正確に行えるため生産性が上がることはもちろんメリットでしょう。

そして「見えづらい生産性」にも寄与すると思います。

例えば、単純作業を仲間にお願いするとなると、その人のモチベーションにも影響してくるでしょうし、依頼する側も申し訳ない気持ちになると思います。

なかなか数字で現れてくるものではありませんが、そういった心理的なマイナス要因も、RPAによる自動化で抑えられると思いますので、メリットはすごくあるのではないでしょうか。

 

RPAを導入する上でのコツみたいなものはありますか?

安倍さん:まずは簡単なものでもいいから、誰かと協力するなどして1つ試しに作ってみることが結構大切だと思います。あとは質問できる人が近くにいるというのはすごい重要ですね。

例えば、ソフトバンク株式会社が提供する「SynchRoidポータル」はユーザグループがしっかりしていてお勧めです。同じ悩みを持ってる人とか課題を抱えてる人がいて、すぐ回答をしてくれる人がいるのがSynchRoidのいいところだと思います。

ユーザどうしによる情報交換ができたり、それに対してランキングがついたりするのでサポートする側も楽しいです。課題がある時はそこで質問をあげれば、きっと誰かが答えてくれます。

一般事務スキルやExcelのスキルがあれば、非エンジニアの方でもRPAを習得することはできると思います。非エンジニアの方でもRPAにどんどん関わってもらいたいですね。

RPAでクリエイティブな作業に専念できる環境を

今後、どのようなところでRPAを活用していきたいですか?

森下さん:今、自社でAI-OCR(OCR(光学文字認識)にAI(人工知能)を加えて、印字や手書き文字を高精度で認識してデジタル化する技術)製品を開発中です。

このAI-OCRとRPAを組み合わせると、例えば、今まで目視で伝票を確認して、その記載された科目にあわせて処理をしていた業務が、自動で伝票の種類を判別したり仕分けしたり、記載内容の照合などもできるようになります。

RPAでできる業務の幅が広がっていくのが楽しみですね。

 

最後に全国の中小企業の方へメッセージをお願いします。

森下さん:「『RPAの導入で1万時間業務削減しました!』といったことは、一部の企業さんだけの話でしょう・・・」と思われる方は多いと思います。

たしかに、中小企業で「1万時間の業務をいきなり削減すること」は実現できないかもしれません。そうではなく、RPAの導入で考えてほしいことは「時間に対する費用対効果」です。

中小企業になればなるほど、お客さんに近いところで業務をされていると思います。

お客さんと触れ合って、人間対人間でしかできない業務をされていると思います。

だからこそ、ロボットにできることはロボットにさせて、その分人間が本来やるべきクリエイティブな作業に専念してもらいたいのです。

特に弊社はクリエイティブな作業が多く、RPAを導入したことでより専念できる環境になりました。同じようにクリエイティブなお仕事をされている中小企業は、積極的にRPAを導入して自動化できるところは自動化した方がいいと思います。

そのためにもまずはRPAに触れてみて、そこで得られる効果を感じてみたり、会社の雰囲気がどう変わるのかを体感してみるなど、現在の職場環境の見直しを図ってみてはいかがでしょうか。

ダウンロード